2007年4月10日 (火) Post Today
新聞
村と結婚した男
Wiratee Sri-on media4joy@hotmail.com
www.happymedia.blogspot.com
日本の山奥にある馬路村。街から遠く、国道が通らないところ。柚子が豊作になったときに、誰も目をくれなかった。
“村から出て行く人が多くなった。このままだと子供と年寄りしかいない。どう
すれば村が自立できて、都会を追っていかなくてもいいようになるのかな。”
一人の男が考え込んだ。村の元気を取り戻したい。じっくり考えると自分の村にはいいものがたくさ
んある。単に他の人に伝えていないだけなのだ。
この村には柚子をたくさん栽培してあった。ただ、山の多いところなので、山の斜面で栽培するところが多かった。柚子は大きなとげがあり、大きいもので4センチにもなるという。それに、村には子供と年寄りしかいない。柚子の手入れは出来るわけない。
だから、馬路村の柚子は見た目がよくない。実のまま出荷すると、だれも買いた
くないでしょう。
“しかし、農薬を使わないことが特徴にもなるのでは”と男が考えた。“我々の柚子は美味しい空気で、川の上流の水で育てられ、農薬が混ざっていない。この美味しさは都会の人が懐かしく思うでしょう”
そう思うと、何人かの友達を誘って加工品を作ってみた。試行錯誤で頑張って商品を作ってみた。結果としてできたのは、村の特徴を全面的に出す商品となった。
一から二、二から三、現在馬路村の商品が数十種類になり、大ヒットになった。
県の特産品トップ10に6種類も入り、注文がどんどん入ってくる。始まった当時と比べると10倍にもなる。そして村起こしに熱中する日本人、外国人の交流の場になっ
て、観光村にもなった。
その男が昔のことを思い出した。経費節約のために村から夜中トラックを出して朝街に着き、その後一日中お客さんを呼んでも誰も買ってくれなかった。そう思うと、
今の幸せに微笑みがこぼれた。
特に、農家にとってノーベル賞のような朝日農業賞をとったときを思い出すともっともっと感激した。村人数人が叫んでいた「この村に生まれてよかった」聞いた人は涙が出るほど感動した。
その男は東谷望史氏。何も偉い肩書きもなく、「村を愛する心」でここまでがんばってきた。「村と結婚した男」と呼ばれたくらいだ。
馬路村が成功のモデルになって、各地から見学者が村に入ってきた。経験を積んできた一村人が講師となった。
東谷氏が村の取り組みを説明する度に目が輝いていた。何度話しをしても飽きない。
ふと思って、私は自分に聞いてみた。私たちは生まれ故郷に、このような取り組
みをしたことがあるのか
“田舎は都会が忘れていた何かをもっている。田舎作りは田舎のいいところを伸ばすことだ。田舎というのは、売りにできるポイントである”
村と結婚したこの男は私たちにそう伝えたかったのだろう。
馬路村の人々の協力によって積み上げられた経験は、私の心にあった小さな火に勢いを足してくれた。
“住民の参加なしでは、街は加速的に変わってしまう。”有名な社会学者の言葉が頭によみがえってきた。
学者や運動のリーダーのみではなく、住民一人一人に力がある。どうすればみんなの力を「何か」を通して発揮できるのか。
“地域参加には
自分の好きなことをキープするのではなく、地域の人に自分の力
を分かってもらうことである”その学者が主張した。
都会の問題として “私の問題ではない”ということがよく見られる。他の人に何が起こっても知らない。私は無事であるだけでいい。あなたの家の前にゴミがあってもいい。私のところになければいい。
地域参加の気持ちを起こすには “みんなの問題”を作り出さないといけないで
しょう。
難しくても、一歩踏み出すことが必要になる。アパイ・プーベット病院のスパーポーン・ピティポーン氏(薬剤師)、薬草の栽培をしている「ドンバン村」を薬草観光村にするリーダーの一人が教えてくれた。その一歩は原点に戻ること。みんな共感を持つと「グループの力」が自然に生まれてくる。
“村人が一緒になって一緒に勉強することだけでも価値がある。仕事が成功してもしなくても”と最後に述べてくれた。
同じように、スラジット・シラウェット、メークロンを愛する会のリーダー、サムット・ソンクラーム県商業会議長が“メークロンの人”という本に書いた。
“我々メークロン人がいくつかのグループになって、地域を守る活動をした。みんなが問題意識をし、一緒に問題解決に取り組んだ。西洋の開発の流れに囲まれても、
我々メークロンの人は自分たちの領域で問題解決に取り込めることに希望がある。そして同時に外部の人に伝えたい。メークロンの人は、地域にたくさんの木、川、美味しい空気を守りたい。静かで過ごしやすい、自分の特徴を維持する町にしたい。この国の最後の「東洋のベニス」になりたい。世界の流れに逆らって、自然の流れに沿って行きたい”
「自分の地域を理解する」ことによって、自分流の出発点が出てくるかもしれな
い。
一から二、二から三、どんどん増えていく。めげない気持ちで。
私は結婚する準備ができた。
あなたは?準備できましたか?
(馬路村のことは Suan-ngoen Meema
出版の「ちっちゃな村のおっきな感動物語」を読
んでください)
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